温暖化と十字軍
皆さんは十字軍をご存知だろうか?これは11世紀末から13世紀末まで何度かに渡ってヨーロッパの様々な国が協力して行った軍事行動でイスラム教勢力に占領されていたキリスト教の聖地であるエルサレムを占領することを最終目標にしていた。しかしエルサレムがイスラム教勢力に占領されたのは7世紀のことである、なぜそれから400年以上経って急にヨーロッパ諸国はエルサレムの奪還を目指したのだろうか?また十字軍開始の直接的なきっかけはセルジューク朝が現在のトルコまできたので東ローマ帝国が救援を求めたからだが、救援を求められたからと言ってなぜヨーロッパの多くの国が軍事行動をおこせたのだろうか?そこには当時の気候が関係しているのであった。
およそ10世紀から14世紀にかけて地球は太陽活動の活発化の影響で現在よりも地球の平均気温がおよそ2℃ほど高かったと言われている。とはいえ気温の上昇幅は地域差があり全く影響を受けてない地域あったのではないかと言われている。とはいえヨーロッパでは下記の図のように
現在ではブドウ栽培の北限はドイツであるが中世の温暖な時期はイングランドでも大規模なブドウ畑が存在してたり、他にも当時温暖であった証拠として北極のすぐ近くにはグリーンランドと呼ばれる世界最大の島があるが
この島は北極の近くにあるだけあってほとんどを氷河と氷に覆われている、それなのになぜ地名にグリーンが入っているのかというと発見されたのが中世温暖期で南部には緑が広がっていたからだと言われている。そしてこの温暖な気候は当時のヨーロッパに大きな影響を与えた、まず農業において冷涼なヨーロッパでは小麦の収穫量が少なかったが温暖化によって収穫量が増え。、それを背景に当時三圃制と呼ばれる新たな農法が広まり農業の生産性が向上し人口が一気に増加した。なので森林をどんどん開墾し農地とすることで人口を養おうとしたがやがて限界が来てしまう、そして最終的にヨーロッパは外を征服することを選んだのであった。
この時期十字軍以外にもイベリア半島でイスラム勢力の追放を目指したレコンキスタがバルト海沿岸でドイツ人の大規模な植民である東方植民が起きている、このように気候が温暖になったためにヨーロッパは熱心に外部に対する征服運動を行なったのだ。
このように当時のヨーロッパが十字軍を行えた裏には気候変動による生産力の向上と人口増加といった背景があったのである、十字軍がのちにもたらした影響を考えると気温が僅か2℃上昇しただけでここまで大きな影響が出るのかと驚きを禁じ得ない。